1    アメリカの教育

1.       仕組み

l         アメリカの連邦政府教育庁は、教育のごく基本的な方針を決めたり、各学校の特別なプログラムや図書館等の設備の財政援助を行ったりするのが主な目的で、教育政策を統括する権限を持っていません。これは文部科学省が全国規模で統制力を持つ日本と大きく異なるところです。

l         教育庁の下にある州の教育委員会(Board of Education)が必要出席日数、教員資格、カリキュラムのガイドライン等を決定します。

l         実際に、各学校の教育行政にかかわってくるのは学校区であり、学校区の教育委員会がカリキュラム・教科書・授業科目、授業時間数から始業日・終業日や休日等といった学校の設定を独自に行います。つまり学校区によってそれぞれ独自の教育が運営されていくところに特徴があります。

2.        財源

l         公立学校の運営は、地域住民の願い要求が反映されるように、地方政府に委ねられているため、その主な財源は、州からの補助金と地域住民の税金から成り立っています。

l         このため教育環境に地域格差が生じ、豊かな地域は教育環境もよいといわれるゆえんとなっています。

3.        教育信条

l         全ての子どもに教育を受けさせる権利を保障し、それぞれの個性の尊重と自主性の伸長を教育の指針とし、一人ひとりの生徒の能力と資質にあった指導を行っています。

²        公教育はすべて無料でなければならない。――高校終了まで授業料は無料となります。

²        公教育は全ての人に平等で万人に開かれていなければならない。

²        公教育はいかなる宗教・信条からに自由でなければならない。

²        学校教育は、基礎教育にとどまらず。子ども達の心身の成長を助け、一人ひとりの能力を最大限に伸ばせる場でなければならない。

2    ケンタッキー州の就学制度

1.        義務教育期間

l         義務教育期間は年齢で定められており、5歳から16歳までが義務教育と定められています。従って、高校入試の入学試験等はありません。

l         小学入学の準備期間として、各小学校にKindergarten(日本でいう幼稚園にあたる)が設置され、5歳から入園をします。

2.        就学制度

l         就学制度 5・3・4制 

下図参照(日本:6・3・3制)

 

 

学年

日本の学年

年齢

4年制高校

High School

 

 

12

高3

18

17

16

15

11

高2

10

高1

中3

 

3年制中学校

Middle School

中2

14

13

12

中1

小6

5年制小学校

Elementary School

 

 

 

小5

11

10

小4

小3

小2

小1

幼稚園 Kindergarten

 

 

        [幼稚園は義務教育です]

3.        学年の決定

l         ケンタッキー州の学校の新学期は8月中〜下旬にスタートし、翌年5月末頃に終了します。始業日・終業日、休祭日は、学区の教育委員会が決定します。

(これらの情報は、教育員会のホームページに載っています。)

l         学年は子供の誕生日によって決定します。学年決定のための基準日(Cut off Day)は101日です。たとえば、Elementary (小学校)6歳からスタートしますが、その年の101日までに6歳に達する児童で、Kindergarten を終了した生徒が新学期から、小学校1年生として入学するとこになります。

l         101日までに5歳に達する児童は新学期から、Kindergarten(幼稚園)に入園することができます。

l         生徒の学力や社会的成熟度を考慮して学年を決定することもあります。従って、同じ学年を繰り返すことも、幼稚園のレベルから普通に起る出来事です。

l         特に編入の場合は、新学期の時期が日本とずれていることもあり、どの学年からスタートするのかはじっくり考えたいポイントです。

l         お子さんの誕生日を基準に学年を決定しますが、学年を下げるケースもしくは上げるケースと様々ですので、赴任時の学年、帰任の時期、何学生で帰国することになるかまた、お子さんの英語力その他教科の学力等を十分に考慮して、学年を決定することが大切です。

l         しかしながら、4月赴任の場合、現地校へ日本の新学年で入学すると、現地校では既に学年末となり、2ヶ月足らずで終了してしまいます。こういう場合は、8月の現地校新学期に、進級させず、同じ学年を繰り返すよう指示されます。

l         英語力の問題や、就学期間等の要件で、学校側と意見が合わない場合は、教師やカウンセラーとしっかり相談をして、納得してから学年を決定することが大切です。納得がいくまで、あきらめずに話し合いを重ねることが大切です。

l         小学生・中学生は、米国で何年生であっても、日本へ戻った時には、その子の学齢に応じた学年に編入する事になります。

4.        学区制

l         公立学校は、学区制になっており、住居の場合によって通学すべき学校が自動的に決定します。自分の学区外の学校へ行くことは、原則認められておりませんので、住居決定の契約を結ぶ前に十分ご検討下さい。

·         同じ分譲地内でも道一本で通学する学区が異なっていることもありますので、正確な住所を入手して、教育員会に電話をするか、ホームページの[Street Directory]で確認をすることが必要です。

·         人口の流動が激しいこともあり、数年毎に学区の見直しが実地され、学区が変更になることがあります。そのため、新学期から学校が変更になったり、想定していた上級学校にいくことができなくなったりすることがあります。

·         これらの情報は、新聞紙上(Lexington Herald-Leader)で発表されます。

·         通学希望の学校の生徒数に空きがある場合、越境通学がみとめられることがありますが、教育委員会に越境通学申請書を提出し、許可をもらわなければなりません。

3 Fayette County Public Schools(レキシントン地区)におけるその他の教育プログラム

  教育委員会に関する情報及び各学校の情報  フェイアットカウンティ www.fcps.net

              ESL(English as a Second Language)

·         英語を母国語としない生徒の教育機会均等を守るために、英語の習得を目的としたESLプログラムが設置されています。

·         ほとんどの小学校にESL専門の教師が設置されています。学校専属の場合といくつかの小学校を掛け持ちしている場合があります。

·         英語能力に応じて、時間割の数時間をESLの授業に振り分けます。

·         ESL受講の必要性や時間数は、担任教師とESL教師が話し合って決めます。

·         中学校と高校では、ESLプログラムが下記の数校に分けられて設置されています。

ESL プログラム設置校〕

(中学)  

Southern Middle School

Leestown Middle School

Morton Middle School

Crawford Middle School

Windurn Middle School

(高校)

Henry Clay High School

Lafayette High School

Brian Station High School

   

·         学区の学校にESLが設置されておらず、ESLの受講が必要であると判断された場合は、学区外の指定されたESLプログラム設置校へ通学をすることになります。

·         ESLを終了し、通常授業についていけると判断された場合は、本来の学区へ戻ることになります。 

·         中学校/高校は、入学許可の前に教育委員会のESLの事務所で英語のアセスメントテストを受けなければなりません。

教育委員会のアセスメントテスト (レベルチェックの為)

1)口頭の面接(聞く力と伝達能力を見る/テープによる聞き取り)・書き取り・読解テストの3部で構成されています。 

2)最初の口頭面接で話す力が無いと判断されると、書き取りや読解のテストに進めません。この場合5分ほどでアセスメントは終わります。最後まで進むと1時間程度かかります。  

3)結果は、「A」〜「F」のレベルに分けられ、各学校で、このレベル に応じて各人の授業時間割が組まれます。

A」− 初級レベル(全く、あるいはほとんど英語力が無い生徒) 

              1日の時間割のほとんどがESLの授業になるようです。 

F」− ESL受講が必要ないレベル 

·         アセスメントテストでは、日常会話が出来ない生徒は、英語能力がない、授業についていけないというスタンスです。従って、面接ではしっかり話をすることが大切です。また、判定レベルに納得がいかない場合は、学校で再テストを受けることも可能なようなので、学校側に自分たちの考えをしっかり伝えて、納得がいくまで話し合いをする必要があります。 

ESS プログラム Extended School Program 

·         各教科の先生が、始業前もしくは放課後に補習をしてくれるサービスです。宿題を手伝ってもらったり、分からないところを聞いたりすることができます。担任以外の先生でも受講は可能です。少人数なので気軽に質問ができます。 

4 入学・編入にあたって

1)学校の選択

·         学区制をとっているため、住居の地域によって学校が決定します。学校を優先させるのであれば、住居を決定する前に、赴任期間中にお子さんが上級校へ進学すること等も考慮して、学区内の学校について情報を入手することが大切です。 

·         学区は数年毎に見直しが行なわれ、新学期から学校が変わるというようなことも起こります。また、ESLプログラムは、突然いろいろなことが変更されて対応に追われることもあります。臨機応変に対処することが大切です。 

2)入学・編入手続き

·         通学すべき学校がわかったら、小学校の場合は、直接学校に連絡をして、指示に従ってください。 

   必要書類 

  1. パスポート・ビザ

  2. ツベルクリンテスト証明(Tuberculin Skin Test Certificate)

  3. 予防接種証明(Immunization Certificate)

  4. 健康診断書(Medical Examination Form)

  5. 日本の学校の成績証明書 

  6. 視力検査(入学後で可)

      アメリカではBCG接種を行なわないので、ツベルクリン反応が「陽性」とでると、『結核』と疑われることがあります。「陽性」反応がBCG接種の結果であっても証明がないと認めてもらえないので注意が必要です。

·         中高の場合、アセスメントテストを受ける為、教育委員会のESL事務所に電話をし、アポイントをとってください。 

      ESL Office: 859-381-4260 

 《必要書類

  1. Kentucky Immunization Certificate

  2.  TB Skin Test Certificate

  3. 日本の学校の成績証明書

上記3通が必要になります。日本から持ってきた英文の健康診断書類をHealth Department  もし くは病院に持っていって、ESLが要求している書式の書類にしてもらって下さい。これがそろわないとアセスメントを実施してくれません。 

3)通学の手段

·         学校への通学は、保護者が送迎するか、無料のスクールバスを利用します。 

·         スクールバスを利用する場合、バスの番号、乗降場所、時刻は、学校で教えてくれますが、教育委員会のホームページにある「Online bus route finder」で見つけることができます。本来の学区以外の学校(ESLやマグネットスクール)に通学している生徒には、学校から直接郵便で連絡がいきます。 

·         バスの乗降場所は、小学生の場合は約320m毎に、中学生の場合は480m毎、高校生の場合は約640m毎に設置されています。バス停の標識はありません。

·         指定の乗降所以外では、校長の許可が無い限り、乗降りできません。 

·         学校と自宅の距離が1マイル(1.6Km)以内の場合は、徒歩で通学するかもしくは保護者が車で送り迎えをすることになります。各学校に、自動車から乗降させる指定の場所があります。 

·         スクールバス利用時は、安全上運転手に監督責任と権限が与えられています。運転手の指示に従わず、以下の行為を行なった場合は、バスから降ろされ、校長へ報告がいきます。また、最悪の場合はバスの利用ができなくなります。

― バスの中で、または外に向かってものを投げる 

― バスの窓から手や体を出す 

― 走行中に席を立つ

― 大声で話す、叫ぶ、けんかをする等 

― 他の生徒を脅したり、嫌がらせをしたりする 

5 学校生活 

1)オープンハウス 

·         アメリカでは、日本の「授業参観」にあたるものは見受けられませんが、それに変わって「オープンハウス」を実施しています。 

·         これは各教師による教育方針説明会で、通常910月に開かれています。学校から案内のレターが自宅へ届きます。夫婦で参加するのが一般的です。 

·         オープンハウスは、生徒の下校後、夕方に始まります。保護者は各教室を見学し、教師の話を聞いて回ります。個人的な話はあまりできないかもしれませんが、教師と会うよい機会なので、ぜひご夫婦で参加して下さい。 

2)個人面談・カウンセリング 

·         成績表が配布された後に、個人面談を設定する学校や、成績表の裏に個人面談希望者は、申し出るように明示されている場合があります。

·         個人的に教師に相談したいことがある場合は、アポイントメントを取って教師と個人面談を実施することができます。親がイニシアティブを取って、話の機会を求めることが大切です。そうすることによって、先生も注意して生徒のことを見てくれます。 

·         小学校では、担任の教師、中学高校では、各教科の教師と面談を実施します。(小学校における担任教師は、日本の担任と同様な存在ですが、中・高校では、出欠の確認、必要連絡事項を行なう朝のホームルームを担当するのみで、実際の生徒との接触は少ないのが特徴です。) 

·         中学、高校では、カウンセラーが進路指導を含む学校生活全般の相談役です。選択科目や履修単位のについて、必要に応じこまめにアポイントを取り相談にいくことが大切です。 

3)出席・欠席届

·         学校を欠席した場合は、欠席後初めて学校へ登校をした日から2日以内に文章による欠席の提出が必要です。提出を怠ると否容認欠席(Unexcused Absence)とみなされます。電話連絡だけでは、正式な届とみなされません。

(欠席届の内容)

1.生徒氏名・欠席日・理由・保護者氏名、サインと日付

2.欠席日数の分のMake-up(補習課題)が与えられます。但し無断欠席の場合は、Make-upは認められません。

3.病気で、年間計10日以上の欠席をする場合は、医師の診断書が必要になります。 

4.遅刻・早退の場合は、必ず保護者の引率が必要です。 

4)昼食

·         各学校にカフェテリアがあり、生徒は弁当を持参するか、スクールランチを購入することができます。朝食もあります。 

·         料金は朝食が$1.10(大人$1.50)、昼食は、5年生までは$1.506年生から12年生までが$1.60(大人$3.00)です。前もってまとまった額をカフェテリアで支払っておきます。 

5)授業の形態 

·         アメリカの学校では、各先生が教室を持ちそこへ生徒が移動して、授業を受けるようになっています。先生が移動する日本とは逆です。 

·         選択科目の多い中学・高校の生徒は、5分の短い休み時間の間にトイレ等の用事を済ませ、教室を移動しなければなりません。 

6)教科書

·         薄くて軽い日本の教科書と違い、アメリカの教科書は重くて大きい教科書です。そのため、必要な時以外は、教科書は学校においておきます。 

·         教科書は無料で貸し出されるもので、公共備品として取り扱いに制約があります。

·         紛失や破損をした場合は、罰金や代金支払いの対象となります。

·         希望者は、有料で購入することができます。 

7)サマースクールの活用

·         アメリカの公立学校では、夏休みの間にサマースクール(夏期講習)を実施しています。但し、小・中学校は学校独自のプログラムとなりますので、学区の学校がサマースクールプログラムを提供していない場合は、参加は不可能です。

·         サマースクールプログラムの有無については、各学校の事務所に確認をして下さい。

·         高校のサマースクールは有料で、6月から7月末頃まで、2セメスター制で実施されます。ここで履修した単位は正規の単位として扱ってくれます。

·         サマースクール受講希望の生徒は、カウンセラーに相談しSummer School Referral Formを記入してもらい、Pre-Registrationを指定期間中に実施しなければなりません。 

·         サマースクールを多いに活用すれば、高校卒業や大学進学のために必要な単位を取得し、高校卒業の時期を早めることも可能です。Early Graduation (繰り上げ卒業)と呼ばれるシステムです。 

6 大学進学について 

·         日本・米国どちらの大学に進学する場合でも、こちらの学校で満たしておくべき条件や、やっておかなければならない準備などがあります。早めに計画を立てて、下調べをしておくことが肝要です。

·         高校生くらいになれば、自分で調べて、準備を進めていくべきかも知れませんが、のんびりした子供や、赴任後間もない場合は、うっかりタイミングを逃すことも考えられます。情報収集は早めにスタートをするのが望ましいと思います。

日本へ帰国して進学する場合 

大学によって受験資格・必要条件が異なります。海外帰国子女財団が発行している学校便覧を参照して下さい。補習校にも若干の資料が揃えてあります。 

1)帰国子女枠受験獲得のための受験資格/条件の確認

2)帰任時期を鑑み、繰り上げ卒業が必要かどうか、またそのための条件の確認。

3)帰国子女受験の申請に必要な大学進学標準テスト(SATSAT2ACTTOEFL 等)と受験のタイミング

米国で進学する場合

早めにカウンセラーに相談をして、受験プランを練ることが大切です。早い生徒は8年生からプランを練って履修コースの選択を行い、4年間をかけて大学受験の準備を行ないます。 

1)必要な大学進学標準テスト(SATSAT2、ACTTOEFL等)の確認と受 験のタイミング 

2)受験資格を満たすために必要な履修科目 

アメリカの大学は様々な要素を入学審査の基準として考慮します。大学が要求する必要単位取得数が大前提ですが、特に重要視するのは、一般教養科目(英語・数学・科学・社会・外国語)の数です。入学後、他大学に編入(Transfer)することも多く、高校卒業時に無理に自分のレベル以上の大学をねらう生徒は、比較的少ないといえます。

              【入学審査対象項目例】 

高校で取得したプログラムの質・コースのレベル 

各教科の成績平均点(GPA)  

スポーツ活動や優等生として与えられた賞の種類と数 

推薦状の内容/本人のエッセイ  

申請の方法と面接時の態度等 

大学進学標準テスト(SATSAT2